「ただ戦争だけが敵」を心に刻んで―戦後69年の「8.15」に

 今年の「8.15」ほど「戦争」の足音を身近に感じたときはないような気がします。日本国憲法公布から68年、たしかに朝鮮戦争からベトナム戦争、そしてイラク戦争に至るまで、」日本は日米安全保障条約によってアメリカの戦争に手を貸し、沖縄をはじめとする軍事基地周辺ではときに「臨戦態勢」かと思われる緊張を強いられてきました。それでも日本は「戦争放棄」し、武力行使をしないのだという「九条」への信頼があったからこそ「平和」でいられたのだと思います。それを「平和ボケ」と非難することはできない。

 1945年8月15日、わたしは国民学校5年生でした。そうです。1941年から47年まで6年間だけ、日本には「小学校」がなく軍国主義教育をめざす「国民学校」という制度でした。その6年間をまるまる通ったのはわたしたちの学年だけです。「主学校に一度も行ったことがない」というと「え?不登校?」などと聞かれますが、とんでもない。そのころは、病気になっても学校に行かないことは「不忠もの」とみなされる心配がありました。わたしは虚弱児童でしょっちゅう学校を休み、勉強の方をいくらがんばっても「お国のために役に立たない」という引け目がありました。

 疎開先で「8.15」を迎えた日、夏休みでしたが全員登校し、古ぼけた真空管ラジオに最敬礼をして降伏を告げる天皇の「玉音放送」を聞きました。個人の家庭にはラジオもなかったからね。でもザーザーという雑音だらけ(真空管が切れかけていたのと電圧低下のせい)のうえ、奇妙な発音の「玉音」はほとんど聞き取れなかった。校長先生も同じだったとみえ、放送終了後「いよいよ本土決戦の時が来た。全員玉砕しよう」と挨拶したのです。「やっぱり死ぬのか」とキンチョーしたのを覚えていいます。でもうちへ帰ったら母が「戦争は終わったのよ」とうれしそうにいうではありませんか。せっかく「死ぬ覚悟」をしたのに、となんだか腹が立ちました。

 10歳の女の子が実感もないのに「死ぬ」気になったとは、信じがたいと思われるかもしれませんが、戦争の時代とはそういうものでした。そしてじっさいに「子ども」たちも空襲や原爆や沖縄戦や満蒙開拓団でたくさん殺され、直接戦火を浴びなかったものも「死ぬ覚悟」をしたのです。わたしの兄は1944年旧制中学3年生のとき15歳になるのを待って海軍の少年兵(海軍飛行予科練習生)を志願し、1945年6月10日、特攻隊として九州に送られる直前に茨城県土浦の海軍航空隊基地でアメリカのB29爆撃機に空襲されて「戦死」しました。16歳の兵士でした。兄の死を知ったのは戦争が終わってからでした。母は「腰が抜けるほど」泣いたそうです。この経験は母の手記『雲よ還れ―16歳で戦死したわが子へ』とわたしの『ある予科練の青春と死―兄を探す旅』があります(絶版ですので、図書館で探してください)。

そのときわたしたち、戦場となったアジアの国々でたくさんの子どもが日本軍によって殺され、少女たちが強姦され「慰安婦」にさせられたことを知りませんでした。おとなになり、歴史を学ぶようになってから、わたしは戦争の時代に「死ぬこと」を求められて育った子ども時代の自分は戦争の被害者なのか、戦争遂行の片棒を担いだ加害者なのかと考えずにはいられませんでした。この思いについては『子どものとき憲法に出会った』と『女たちが戦争に向き合うとき―わたし・記憶・平和の選択』という2冊のブックレットに書きましたので、読んでみてください。

それからもっと大人になってから、わたしは平塚らいてうに出会い、初めは研究対象として、今はこれまで語られなかった「らいてうのこころざし」の「語り部」になって『らいてうの家』を運営しています。らいてうが第一次世界大戦のころ2児の母になり、「いのちの素晴らしさ」と「いのちを産む性」である女性の力にめざめ、「国家のエゴ」としての軍備を批判、戦中の模索を経て戦後日本国憲法に出会うなかから、あらゆる意味でいのちを奪う「すべての戦争をなくす」思想に到達したことに共感するからです。日本で「集団的自衛権」が閣議決定され、ガザで女性や子供を含む2000人近い空爆の犠牲者が出ている今、世界が人を殺す戦争をしないこと、まずはガザで「停戦」の持続と「和平」の実現を切望しつつー。

 来年「戦後70年」までに本を書きたいと思っています。タイトルは「『ただ戦争だけが敵』―平塚らいてうの平和思想」にしたいと思っています。出版社のあてはありませんが…。

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