第12回女性史のつどい参加記(続きの3)―遠野で学んだ「戦争体験を忘れない」ということ  

10月9日の遠野会場の分科会報告をめぐって、感動的な体験をしました。

一つは、広島で旧制女学校2年の級友が「建物疎開」に動員されて爆心地で被爆、ほとんど全員が死んでしまったことを、病気欠席したばかりに「生き残った」関千枝子さんが『広島県女二年西組』で書きつづったことはよく知られていますが、今回彼女がその続編ともいうべき『ヒロシマの少年少女たち―原爆、靖国、朝鮮半島出身者』(彩流社 2015年8月刊)を携えて報告されたことです。関さんは、「安倍首相が靖国神社参拝したのは憲法違反」と訴える裁判の原告になっていますが、それは国の命令で動員され、爆死してしまった級友たちを靖国神社に祀り「殉国の英霊」として参拝する安倍首相に深い憤りを抱いたからです(わたしも16歳で“戦死”した兄を「英霊」扱いすることに耐えられず、裁判に参加しています)。

その関さんが母校だけでなく全市の女学校・中学校の男女生徒たちが同じように「勤労動員」されて爆死したことを、克明な調査に基づいて報告されたのです。ご著書を読んでなぜ関さんが杖をつきながら「遠い遠い」遠野までやってこられたか、よくわかりました。それは「あまりにも多くの人びとがこの『惨事』を知らない、広島市の人びとでさえ」ということにほとんど怒りを覚えながら事実をしらべ、そこからなぜ級友たちが靖国に祀られたのか、学校ごとに死者の数が合わないのはなぜかを追跡、「朝鮮人学徒」たちが死者のリストから消されていたのではないかという推論にたどり着く過程を含めて広島の原爆被害の内部にひそむ「加害」の問題を鋭く指摘するところまで踏み込んでいるからです。「戦争体験」を「過去のこと」とか「被害ばかり強調」とかいう目線でみることへのジャーナリストとしての「異議申し立て」であると感じ、共感しました。関さんの本を読んでください。彩流社はhttp//www.sairyusha.co.jp  ℡03-3234-5931です(1,800円+税)。

関千枝子さんの本

関千枝子さんの本

もう一つは、旧制遠野高等女学校で、戦争末期に女学生たちが軍需工場に勤労動員された事実を、戦後半世紀の1993年、現在の遠野高校の生徒たちが卒業生にアンケートを出して掘り起し、文化祭で発表したという「戦争体験」を現在に語り継ぐ作業をされた箱石邦夫先生(当時―現在は「戦中戦後を語りつぐ会(いわて))の報告です。仙台や北上だけでなく、それこそ遠く横浜の軍需工場にまで送られたと言います。そこでも空襲に出会いながら転々とした体験が語られたそうです。その展示に取り組んだ生徒たちは「大きな充実感」を得たと言い、箱石先生は報告を「一人一人が、今から70年前に終わったアジア太平洋戦争15年戦争を深く学び、戦争への途を絶対に許してはならないと思う」むすばれました。

この報告の後、会場からおもいがけない発言がありました。宮城県からきたという92歳の女性が手をあげ、「私は戦争末期に遠野女学校で教師をつとめ、軍需工場の勤労動員に生徒を引率して行きました」とおっしゃるのです。どよめく参加者を前に居坂さんは張りのある声で何度も空襲に出会った体験を語られ、「戦争は二度としてはいけません。わたしも反対の声を上げ続けます」と言われて拍手を浴びました。付き添ってこられた娘さんも「母の時代には自分でものを考えることができなかった。みんなお国のためといわれて自ら軍需工場に行った。いま一番大事なのは教育の力。自分で考え、自分で意見を言える人間にならなくてはならないと思う」と発言。これが全体の締めくくり発言になりました。

さらにおどろいたのは、終了後居坂さんがわたしを待っていてくださったことです。わたしがある女性雑誌に「戦後70年」にちなんだ原稿を書き、そこで亡き母が元気だったころ「女に学問は要らない」と女学校へも行けなかったことを悔やみ、「女がだまされるとまた戦争になる。女が学問しなくてはいけない」と言い暮らしてせっせと本を読んでいたことを紹介したのですが、居坂さんはそれを読んで共感し、このつどいの事を知って遠野までわたしの報告を聞きに来てくださったのだそうです。母は1983年の第3回女性史のつどいに参加していますが、思わず母に出会ったような気持ちになって手を握りしめてしまいました。帰宅後、母の書いた手記をお送りしたところ、丁寧な筆跡のお礼状が届き、しかも「10年前にらいてうの家を訪ねたことがあります。らいてうさんを尊敬しています」と「らいてうの家」へのカンパが同封してありました。「アベ政権のもとで絶対安倍戦争法案廃案に、九条を守り通さなければならないと思います」というおことばにまたまた感激。こういう出会いがあったことを、このつどいの大きな収穫にしたいと思いました。お許しがあればお手紙を紹介したいと思っています。

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