「国連安保理決議1325号」国内行動計画のゆくえ 

以前何回か書きましたが「国連安保理決議1325号」の国内行動計画が、ようやく発表されました。じつはこの「行動計画」については「1325NAP市民連絡会」が中心になって窓口の外務省に働きかけ、「少人数グループ」というかたちではありましたが、一応「市民参加」のかたちである程度意見を盛り込んだ原案をつくったのですが(わたしもパブコメに応じて意見を出しました)、今年の1月にできてから音沙汰なく、「塩漬け」になっているというウワサでした。それがこの9月にやっと発表されたのです。

けれども、それは市民参加でつくられた案にすくなからぬ「変更」が加えられたものでした。市民連絡会の「声明」が出ていますが、それを読むと、「ジェンダー」という言葉そのものが削除されてしまったとか「日本の侵略戦争によって引き起こされた女性への性暴力に対する言及」も削除されたとか、かなりトーンダウンしてしまったらしい。だいたい安倍内閣が武力紛争を解決し、平和構築を目指すうえで女性の参加が不可欠という趣旨のこの決議の国内行動計画をつくると言い出した時から、わたしなどは「マユツバ」ではないかと思っていました。何しろ「女性パイロットを戦闘機に乗せる」などという言説が飛び出すのですからね。わたしは女性だけでなく、男性パイロットも人を殺すための戦闘機で「出撃」することに反対なのですが。それをともかく市民・有識者等の声で実効性のある約束を盛り込ませるように努力したのが、政府には気に入らなかったらしい。

以下、市民連絡会の『声明』をご紹介します。「残念」という抑えた言い方にその強い思いを感じるとともに、ここでも「あきらめない」というメッセージをうけとりたい。行動計画推進を訴えたアンワラル・チャウドリーさんに応えるためにも。以下GSMLの投稿から投稿者の了解を得て引用。

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日本版NAP最終版および策定の経緯については、以下の外務省HPから「女性・平
和・安全保障に関する行動計画」をご覧ください。
http://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/women/index.html#section3
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安保理決議1325号「女性・平和・安全保障」行動計画最終版の公表を受けて
1325NAP市民連絡会声明   2015年11月18日

2015年9月29日、日本政府は、安倍首相の国連総会一般討論演説の機会にあわせ、
安保理決議1325号にもとづく「女性・平和・安全保障」日本版行動計画を発表した。

2013年3月に政府が初めて計画策定を明らかにした後、同年8月にNGO39団体は、
透明で市民参加にもとづく策定プロセスを求めて政府に申し入れを行った。外務
省がこの要請に真摯に応え、市民社会組織代表と研究者、関連省庁が参加する少
人数グループ会合で12回にわたって草案を検討し、また全国6カ所で地方意見交
換会を開催するなど、これまでになく緊密な政府・市民社会の対話を実現するた
めに多大な努力を払ってきたことを、私たちは高く評価している。2014年秋に実
施されたパブリックコメントを経て、2015年1月にまとめられた行動計画案には、
以下のように、多くの評価すべき点が盛り込まれた。

●5つの柱ごとにねらいと目標が明記され、それに対応して取るべき行動とモニ
タリングの指標が具体的に記述された。
●国際協力の課題だけでなく、多くの国内の課題が盛り込まれた。
●武力紛争だけでなく自然災害も、ジェンダーと安全保障に関わる課題として取
り上げられた。
●女性・女児だけでなく、難民・国内避難民、民族的・宗教的・言語的少数者、障
害者、保護者のいない子ども、女性世帯主世帯、LGBTなど、脆弱性の高い多様な
受益者への配慮について言及された。
●保護において、「国際的な行動規範の周知・徹底」が言及され、「スフィア・スタ
ンダード等の人道支援運営国際基準」の必要性が認識・反映された。
●モニタリング・評価・見直しの過程における市民社会の参加が明確に保障された。
上述のプロセスを通じ、他国の行動計画と比較しても先進的な最終案が作成さ
れたことを私たちは高く評価している。
一方で、政府による計画確定の最終段階で、少人数グループや市民連絡会の関
与しない場において、市民社会との協議に基づく最終案に変更が加えられたこと
は、非常に残念である。
2015年3月以降に協議を経ず加えられた変更は、主に以下の点である。
1.日本語版から「ジェンダー」の語がほぼ削除され、別の語に言い換えられた。
これにより、社会における男女の異なる位置づけに注意をはらう必要が計画実施
者に正しく共有されず、狭く異なる意味で理解される恐れがある。また、「ジェ
ンダーに基づく暴力」が「性別に基づく暴力」とされることにより、性暴力が社
会的背景にも起因しているという観点からの予防・保護が必要であるという国際
的な理解との齟齬が生じる可能性がある。
2.モニタリング・評価における市民社会の関与が曖昧になった。
たとえば、「市民社会」が「専門家(市民社会とNGOの代表を含む)」と言い変
えられたことによって、より広範な市民社会、とりわけ1325号決議の趣旨に照ら
し、草の根の女性団体の参加が制限されないよう留意すべきである。
3.戦時性暴力を含む日本の過去の戦争責任に関する文言が、「序文」から削除
された。
私たち市民連絡会は、日本が行動計画を策定する前提として、過去の植民地支配
と侵略戦争の中で、大規模な女性に対する暴力を引き起こしたという事実を認識
し反省することが不可欠であると考え、その旨を「序文」において明確な言葉で
述べるよう提案した。政府との協議を通してトーンは弱まったものの、パブコメ
段階で残っていた一文も最終的に削除された。
4.その他、削除されたのは以下の項目である:
●「予防」から、日本国内における人種・性にもとづくヘイトスピーチの抑制に
関する項目が削除された。
●「保護」から、駐留外国軍による性暴力に関する項目が削除された。
●「保護」から、被害者の司法アクセス支援が削除された。国際協力の現場にお
けるジェンダーに基づく暴力被害者支援は、医療・経済・司法支援が包括的に行
われてこその支援であり、司法へのアクセスが排除されることにより、被害者は
被害者にも落ち度があるというスティグマからの回復が難しくなり、結果、他の
支援へのアクセスも困難となる。

日本政府は今後、「女性・平和・安全保障」に関する国際社会の議論も踏まえな
がら 、国内外の市民社会との対話のもとに行動計画を着実に実施していくべき
である。私たちは、行動計画の実施をモニタリングし、評価・見直しの過程に積
極的に関わり、安保理決議1325号「女性・平和・安全保障」の理念と目的の実現
を求めていく。その際には以下が重要だと考える。
●モニタリング・評価・見直しにおいては、透明で説明責任にもとづく市民社会
の参加を保障すること。特に評価委員会の性格と活動の詳細は、市民社会との話
し合いの場を通じて検討し設置すること。
●世界における「女性・平和・安全保障」分野の議論と進展を踏まえ、国際的な
基準に則って行動計画を実施すること。
●たとえ「ジェンダー」という用語を日本語版で使わないにしても、本来の議論
の趣旨および国際ジェンダー基準に則って行動計画を実施すること。
●策定の最終段階で削除された課題については、策定過程での議論を踏まえ、今
後の見直しにおいてあらためて検討の対象とすること(引用終り)。

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