「伝統的家族観」で子どもが増える?

「一億総活躍担当大臣」というのがいるそうですが、11月18日に「一億総活躍社会に関する意見交換会」が開催されたそうです。GSML(会員制)の情報で知りました。内容は以下の「官邸」ホームページでみることができます。

http://www.kantei.go.jp/jp/singi/ichiokusoukatsuyaku/iken_koukankai/dai3/gijisidai.html
問題になっているのは招聘された一人で、明治大学政治経済学部教授加藤彰彦氏(比較社会学・家族人口学)が配布した資料です。『「希望出生率1.8」をいかにして実現するか』というタイトルで、上記HPから読むことができます。

これを読んだ人から「呆れた」という声が出ています。なぜかというと「伝統的家族観」を保持し「拡大三世代家族」のような「伝統的家族」に依拠する層が出生数の維持拡大に貢献してきた、と主張しているからです。だから出生数を増やすために「三世代的居住環境」で「伝統的家族観を保持」するようにさせる、それには「地方在住の低学歴・低所得の若年層」をターゲットにせよ、という発想らしい。哲学者のほそやまことさんが「女性を子産み財として考える時、こういう結論が出るのですね」と批判していましたが、「産ませる(と思っている)」男も「種付け馬」じゃあるまいし、「学者」が「産む機械」とか「産んで国家貢献」の政治家と同じになってしまったのかとわたしも「呆れた」次第です。

石﨑昇子さんは近著『近現代日本の家族形成と出生児数―子供の数を決めてきたものは何か』(明石書店)で、これとは全く違う結論を出しています。つまり、近世以来の子の出生数をしらべると、近代日本社会で圧倒的多数を占めてきた農民や労働者家族の歴史は、さまざまな歩みを経て「自立し家族となり夫婦の意思により子の出生養育を決めて行けるようになっていく歴史」であったと分析しています。それが現代社会で「少子化」となったのは、労働条件の悪化や貧困化をはじめとする社会的要因であり、「日本で合計出生率を上げたいと思うなら、若者たちが将来設計をして家族を形成し、安心して子を産み育てられるような社会をつくることしかない」と。わたしは歴史的に彼女のいう「自立した夫婦の意思による子の出生と養育」がどれだけ可能であったかという点にはいささかの疑問を持つものですが、少なくとも将来展望において、加藤氏の「低学歴(当然低収入)でじいちゃんばあちゃんにおんぶして子育てすればいい」というような議論への有力な反論になるだろうと思っています。石崎さんの意見を聞きたい。みなさんも、どうぞこの本を読んで見てください。

 

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