「時代の行列」でいいでしょうか?―「作戦計画策定」をめぐる報道から  

 

「今は、もう戦後ではなく新たな戦前」と言われるようになりました。「いつか来た道」を歩くのでしょうか。昔、木下順二さんが「ぞろぞろぞろぞろ行列を作って歩いている時代の行列にくっついて歩いているだけでは、そこでは哲学も芸術も何も生まれてこない。正確な事を自分で探し当てなければならない」といわれたように記憶していますが、「そうならないぞ」と言いながら時代に流されて行ってはいないか、と思いつつ、以下の新聞記事を読みました。資料として引用していいかしら。以下引用。

一つは、東京新聞

自衛隊の作戦計画策定 制服組が権限移譲を要求 防衛省、背広組は拒否(東京新聞2016年2月22日朝刊)

集団的自衛権行使を含み、今年三月施行される安全保障関連法を初めて全面的に反映させる自衛隊最高レベルの作戦計画策定に当たり、防衛省内で制服組自衛官を中心とする統合幕僚監部が、背広組防衛官僚が中心の内部部局(内局)に権限の大幅移譲を要求していることが、複数の防衛省・自衛隊関係者の証言で分かった。内局は拒否、調整が続いている。

昨年六月の改正防衛省設置法成立で防衛省は、防衛官僚が自衛官より優位な立場から大臣を補佐する仕組みだった「文官統制」制度を全廃、内局と統幕、陸海空の各幕僚監部が対等の立場になった。統幕の要求が認められれば、防衛省内での力関係は逆転し、軍事専門家である制服組主導となる可能性もあり、危惧する声は多い。

関係者の話を総合すると、争点となっているのは、「統合防衛及び警備基本計画」で、特定秘密に指定されている。五年先までの計画を三年ごとに全面改定、さらに毎年見直して修正している。同作戦計画に最新の情勢見積もりを加味した上で、統幕が日常的に陸海空三自衛隊を運用(作戦指揮)している。

次の作戦計画策定では、昨年四月に改定された新日米防衛協力指針(ガイドライン)と、安全保障関連法の内容が初めて全面的に反映される。

作戦計画策定までには三段階があり、これまでは(1)内局運用企画局が基本的な方針を定めた大臣指針を決定(2)その指針に基づき統幕が作戦計画を作成(3)運用企画局が大臣に承認を求める-という役割分担だった。

しかし、統幕側は、内局運用企画局が昨年廃止され、自衛隊の運用(作戦指揮)が統幕に一元化されたことを受け「(作戦)計画もすべて統幕の権限だ」と主張、(1)と(3)の権限も譲るよう内局側に要求した。

一方、内局側は「運用(作戦指揮)と(作戦)計画は違う」と主張。その上で、防衛省設置法の八条は、「防衛・警備に関することの基本と調整」や「自衛隊の行動に関する事務の基本」を、内局の所掌事務と規定しているとした。

さらに、内局が総合調整機能を有していることを根拠に、(1)と(3)は運用企画局の機能の一部を継承した内局防衛政策局が引き続き担うべきだ、と統幕側に反論している。

一線越えたら戦前同然

<纐纈厚(こうけつあつし)山口大教授(政治学)の話> 制服組と内局の対立が最終段階に入ってきたのではないか。内局としては譲れないところまできており、この一線を越えたら軍事と政治が一体化し、構造としては戦前と同じようになってしまいかねない。自衛隊の任務が多様化していく中で、文民統制の必要性はこれまで以上に高くなっていくはずだ。内局の役割の重要性を広く世論にアピールした上で、文民統制のあり方について国民的議論を巻き起こしていく必要がある。

国際常識への同調必要

<元海自自衛艦隊司令官香田洋二氏の話> 自衛隊は世界で最も手足を縛られた軍事組織であり、他国であれば制服組の裁量に委ねられているような権限も、内局が持っているケースがある。それを緩和するのは国際的な常識に合わせていくためにも必要なことだ。今後、自衛隊が現場に出て行く機会も増えるはずで、制服組は専門家集団として任務達成に必要な権限行使や意見の上申を自由にしていくべきだ。必要なコントロールは政治がすればよい。

もう一つは 産経新聞

自衛隊作戦、統幕に一元化 防衛省 来月にも策定新手順産経新聞2月29日7時55分配信)

防衛省が、有事の際などを想定した自衛隊の作戦計画「統合防衛及び警備基本計画(基本計画)」を策定する際の新たな手順を、3月中にも決定する方針を固めたことが28日、分かった。防衛官僚(背広組)を中心とする内部部局が担っている計画起案などの役割を、自衛官(制服組)を中心とする統合幕僚監部に一元化することが柱となる見通し。ただ、内局からは権限移譲に反対する声も上がっており、省内では最終調整が続いている。
基本計画は自衛隊最高レベルの作戦計画で、必要に応じて見直されている。特定秘密に指定されているため内容や改定時期は明らかになっていないが、次の見直しでは安全保障関連法や再改定された日米防衛協力の指針(ガイドライン)も反映される。
現行では基本計画の策定に当たり(1)指針となる「大臣指示」を内局が起案(2)指針に基づき統幕が具体的な計画案を作成(3)内局が防衛相に承認を申請-という手続きを踏む。3月中に決定する新たな手順では、統幕が全ての手続きを担う方向で調整が進んでいる。
昨年6月に成立した改正防衛省設置法により、制服組と背広組の対等な立場が明確化。部隊運用に関しては制服組、政策に関しては背広組が担当し、それぞれの立場から防衛相を直接補佐する態勢に改めた。
統幕幹部は「基本計画は部隊運用の根幹ともいえる存在で、統幕が策定手続きを所管するのが妥当だ」と指摘する。これに対し、内局の一部は法改正後も「防衛・警備に関することの基本と調整」などは内局の所掌事務に規定されていることを理由に、従来通りの役割分担を主張している。河野克俊統合幕僚長は25日の記者会見で「いかに大臣を補佐するのがベストかという観点で決めればよい。権限をよこせという話ではない」と指摘した。 引用終り。

新聞の性格もあるでしょうが、一週間の間に「内局拒否」から「一元化」へと見出しが変わっていく怖さ、そこにあるのが例の「特定秘密法」です。「日本の戦争は軍部独走」という言い方は、戦前憲法のもとで「統治権総攬」していた天皇の戦争責任を免罪するものという批判があることは知られていますが、それでも戦前「軍部大臣現役武官制」があり、陸軍・海軍大臣は現役で、気に入らない内閣に大臣を出さず(陸軍のストライキ)内閣を崩壊させたこともあり(1912年、第二次西園寺内閣が陸軍の師団増設要求を財政負担が大きいと拒否したため陸軍大臣が辞任、後任の大臣を出さず、内閣総辞職した事件)、軍部主導で戦争拡大を図ったことは事実です。その苦い経験から、戦後の日本国憲法には「第66条 内閣総理大臣その他の国務大臣は、文民でなければならない」と規定してあります。「文民とは何を指すか」とか「自衛隊は軍隊でないというならこの規定はなくてもいいのでは」「この用語がどうして入ったのか」といった議論は勉強していただくとして、わたしなどは、単純に「戦時下の軍部独裁体制を繰り返さないために、かつて軍人であったものや現在の自衛隊員を政治の責任ある地位に置かない」という「九条」の「非武装非交戦」を保障するための規定だと思っていました。

それがひっくり返るのではないか、「歴史は繰り返す」などと論評してはおれない気がします。

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